ここの人はみんな、ヒノキが最高のものやという遺伝子をもっている
藤村材木店 製材業 藤村知也
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「木は一本一本違う」 人間にも色んな人がいるけれど、木も一緒でなかなか性格が分からない。移り気 で、これという掴みどころがない。 ただ、楽して育った木はひん曲がってくるし、そのかわり傾斜地にあって苦労し た木は年輪が詰まってよい木になる。そういうところも人間と一緒だという。 また、同じ尾鷲でも山によって癖があるらしい。製材するときは以前伐採をしていた頃の山での経験を考慮に入れる。
25年間、ずっと尾鷲でヒノキの柱オンリーでやってきた。 尾鷲ヒノキのよさは、やはり「色とつや」。 なにより仕入れが勝負だが、満足のいくものは10本に2本ないという。 木が好きで、最高のものが取れたときは嬉しい。 しかし、最近はその最高のものが取れても、利益は微々たるもの。 自分も苦しいが、小売店や問屋は在庫を抱えていて苦しいだろうし、何より一番 苦しいのは山持ちさんでしょう、と語る。
今は市場が価値を決める時代で、自分で、これが価値があると言っていても難し い。製品の9割以上を出荷している松阪の製品市場でも他の地域同様、相場が悪くなっている, インタビュー全体を通していえることだが藤村さんはこのあたりの事情も淡々と語る。 一方で「ここの人はみんな、ヒノキが最高のものやという遺伝子をもっている し、しぶとく生き残るしかない」と。 「しぶとく生き残るしかない」という言葉も特に力を込めていたわけではない。しかし、そこに藤村さんの持つしたたかさを感じた。